知っておきたい!求人票と雇用契約書の違いを徹底解説
求人票は募集広告、雇用契約書は労働契約を示す書類。法的拘束力や記載内容の違い、作成のチェックポイントを詳しく解説します。
ポイント: 求人票は「募集情報」を伝えるための書類、雇用契約書は「労働条件」を正式に確定させるための書類。
それぞれの役割・効力・作成時のチェックポイントを押さえて、ミスマッチやトラブルを防ぎましょう。
1.求人票と雇用契約書の役割と違いをわかりやすく解説
求人票の役割
求人票とは、採用したい人材に向けて「こういう条件で働いてほしい」という内容をアピールするための資料です。一般的には、ハローワークや求人サイトなどに掲載される「募集広告」のようなものとして使われます。
- 目的: 求職者に対して募集条件を提示する
- 掲載内容: 募集職種、業務内容、給与目安、勤務地、勤務時間など
- ポイント: あくまで「案内」や「募集」の側面が強く、確定した労働条件を示すものではない
雇用契約書の役割
雇用契約書は、企業と従業員の間で「この条件で働く」と合意した事実を証明するための文書です。労働契約の締結時に双方が署名・捺印して、雇用条件を明文化します。
- 目的: 企業と従業員の間で確定した労働条件を明文化し、お互いの認識を一致させる
- 掲載内容: 賃金、労働時間、休日、業務内容、契約期間など
- ポイント: 法律に基づく義務がある(労働基準法第15条など)。企業と従業員を守るための重要な契約書
2.法的効力の違いと注意点
求人票の法的効力
求人票は「誘引広告」という位置づけで、それ自体には強い法的拘束力はありません。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 誇大広告や虚偽表示はNG
- 「実際には支給されない手当を記載する」「誤解を与えるような給与表示」などは労働者保護の観点から問題になります。
- 社内ルールと食い違いがある場合
- 求人票に書かれている条件と、実際の企業ルールや就業規則が異なる場合は、後々トラブルに発展するリスク大。
雇用契約書の法的効力
雇用契約書は、企業と従業員の「合意内容」を書面にした正式な契約書であり、法的拘束力が強いのが特徴です。
- 労働基準法に基づく説明義務
- 使用者は、労働条件を明示する義務があります。雇用契約書はこの義務を果たすための重要な手段。
- 契約違反のリスク
- 契約書に明示された条件が守られないと、企業側は労働者から契約違反として訴えられる可能性があります。
3.双方を正しく作成するためのチェックリスト
以下のチェックリストを活用することで、ミスマッチやトラブルを未然に防ぐことができます。
求人票作成のチェックリスト
- 募集の目的を明確にする
- どの職種をどのような理由で採用したいのか、社内でも整理したうえで求人情報を作成。
- 実際と相違のない募集条件を記載
- 勤務地や勤務時間、給与体系などを、誇張せず正しく書く。
- 企業の魅力を具体的に表現
- 応募者が興味を持てる情報を盛り込む。例)成長できる環境、働きやすい制度など。
- 最新の社内制度を反映
- 変更した就業規則や福利厚生がある場合は、忘れずにアップデートする。
雇用契約書作成のチェックリスト
- 必須記載事項を漏れなく記入
- 賃金、労働時間、休日、業務内容、契約期間など、法定の明示事項を確実に盛り込む。
- 求職者(従業員)に十分説明を行う
- 書面の交付だけでなく、口頭でも内容を分かりやすく説明する。
- 記名・署名・捺印を忘れずに
- 双方が合意した証として、従業員側と企業側の署名や捺印を確実に行う。
- コピーをそれぞれが保管
- 企業側だけでなく、従業員にもコピーを渡し、保管しておくことが重要。
- 労働条件通知書との違いに注意
- 必ずしも雇用契約書という名称でなくても、「労働条件通知書」として法的要件を満たしている場合があります。しかし、雇用契約書として締結しておくと後々のトラブル予防に役立ちます。
まとめ
求人票はあくまで“募集広告”であり、雇用契約書は“労働契約”として確定した内容を明示するものです。正しい情報を記載した求人票で信頼感を高め、正式な雇用契約書で条件を確定させるというステップを踏むことで、企業と従業員の両方にとって納得感のある採用プロセスが実現できます。
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